車検や点検の際に、次のようなことを言われたことはありませんか?
- ブレーキパッドが減っている
- ブレーキパッドが変形している
- ブレーキパッドを交換した方が良い
ブレーキは安全に関わる重要な機能ですし、ブレーキパッドは消耗品なため、一定距離で交換が必要な部品です。
とはいえ交換が必要と言われても、知識や情報がないと慌ててしまいますよね。
そこで今回は、下記について解説します。
- 車検にブレーキパッドの交換は必要かどうか
- 交換費用・時期の目安
- 費用を最大2万円安く抑える方法
ブレーキが利けば車検に通る
車検時にあわせて交換されたり、運転の安全に直接かかわってくるパーツなので、ブレーキパッドの残量が車検に関係していると考えている方は多いと思います。
車検時に義務的に交換している方も中にはいるのではないでしょうか?
でも実は、ブレーキパッドの残量は車検に関係ありません。
パッドの残量が10mmだろうが、1mmだろうが、ブレーキが利けば車検には通ります。
車検の検査項目にはブレーキパッドの残量の確認はなく、車両の保安基準にもブレーキパッドに関する記載はありません。
ブレーキパッドを交換せず放置するのは危険
ブレーキが利くと車検に通るとお伝えしましたが、磨耗しているブレーキパッドをそのままにしておくと、ブレーキが利きづらい状態に陥ります。
ブレーキパッドは金属の板(バックプレート)の上に磨材(ライニング)を乗せて構成されていますが、磨材が磨耗により無くなるとブレーキが利かなくなります。
ブレーキが利かなくなれば、自車だけでなく、他の車も危険になります。
さらに、磨材が減っていくと、それだけ熱がブレーキの他の部分に伝わりやすくなります。
特にブレーキフルードが一定以上に加熱されると、ベーパーロック(フルードが沸騰し、気泡が発生する)が発生しやすくなり、これもブレーキが効かなくなる原因となります。
また、ブレーキパッドが変形している場合、ハンドリングに影響が出ることや、異音発生の原因になることがあります。
必須ではありませんが、安全で快適な運転のためには、適切なタイミングで交換する必要があります。
ブレーキパッド交換の判断基準
ブレーキパッドの交換が必要か判断する基準は、以下の2つです。
- 前回交換してからの走行距離
- パッドの残量
順番に説明していきます。
前回交換してからの走行距離
まず1つ目の基準が、交換してからの走行距離です。
基準は50,000km〜70,000km走行で交換するのが良いです。
というのも、ブレーキパッドは10,000km走行で約1mmすり減ると言われています。
ブレーキパッドは新品の状態で10mm程度のものが多いので、上記の走行距離でそろそろ交換が必要な状態まですり減ります。
車検時や点検時で本当に交換が必要かどうかを検討する際、上記の基準をぜひ参考にしてみてください。
パッドの残量
2つ目の基準はパッドが残り何mm残っているかです。
ブレーキパッドの交換は残り3mmが交換目安と言われていますが、こちらはあくまでボーダーラインと言える数値です。
例えば、車検時に点検して残り4mmだとしても、気になるようであれば、車検時に交換しても問題ありません。むしろ、安全に配慮した賢い判断だと言えます。
ただ、車検費用が高くなる・金銭的に損をしたくないようであれば、後述の「費用を安く抑える方法」で車検後や車検前に交換するのもおすすめです。
ブレーキパッドの部品代・工賃の目安
交換費用全体の目安は11,000円〜ほどです。
前後どちらかの左右セットの交換で、部品代6,000円〜、工賃は5,000円〜ほどかかります。
以下、トヨタのアルファード240Sの前後左右のブレーキパッドを交換した場合の価格表です。
部品代 | 18,200円 |
工賃 | 10,000円 |
合計 | 28,200円 |
上記はあくまでも目安なので、ブレーキパッドの質により部品代が高くなったり、作業時間が長くなり、更に工賃が高くなることも少なくありません。特に輸入車の場合はパーツ・工賃ともに高くなりやすいです。
例えば、日本でも人気のあるBMWのX1シリーズのブレーキパッドの交換費用が約60,000円までのぼったケースもあります。
主な原因としては、輸入車用のパーツが高価であり、整備ノウハウの少なさのせいで整備が長くなり、工賃が高くなってしまうからです。
ブレーキパッドは定期的に交換する必要があるのに加えて、部品費用も比較的高めです。
さらに、交換時の工賃も高めなため、合計の交換費用が高くなりがちなので注意が必要です。
交換費用や最大2万円安く交換する方法
次に、ブレーキパッドの交換費用を安く抑える2つの方法を紹介します。
ブレーキパッドは定期的に交換が必要かつ、交換費用も高くなりやすいです。
そのため、車検前に安く整備したい方や、日々の車のメンテナンスの出費を安く抑えたい方は多いと思います。
費用を安く抑えられるおすすめの方法は以下の2つです。
- 社外品を使って持ち込み交換する
- 工賃が安いカー用品店や整備工場を利用する
この2つの方法を使うと、最大で合計20,000円も交換費用を安くすることができるので、ぜひ試してみてください。
順番に解説していきます。
社外品を使って持ち込み交換する
1つ目のおすすめの方法が、社外品を持ち込んで交換してもらう方法です。
純正品は価格が高い傾向にあるので、価格の安い社外品を使用して、出費をかなり抑えることが可能です。
以下、純正品、社外品を使った場合の価格比較表です。
(パーツの価格は、左右2箇所セットでの価格になります。)
費用/パーツ種類 | 純正品 | 社外品 |
工賃 | 5,000~9,000円 | 5,000~9,000円 |
パーツ代 | 6,000~10,000円 | 4,000~7,000円 |
前後左右の合計4箇所の交換の場合、最大で6,000円費用を抑えられます。
さらに車種やメーカーによっては、純正部品の価格が非常に高くなる可能性があるので、社外品をうまく活用して出費を抑えましょう。
工賃が安いカー用品店・整備工場を利用する
2つ目の方法は工賃の安いお店に修理を依頼する方法です。
ブレーキパッドの交換は手間がかかり工賃が高くなる場合が多いので、こちらの方法もシンプルながら効果的です。
ディーラー、カー用品店、整備工場の中でも、工賃の安いカー用品店、整備工場の2つがおすすめです。
以下はブレーキパッドを前後どちらか交換した場合の、工賃相場の比較表です。
ディーラー | 整備工場 | カー用品店 |
---|---|---|
7,000~11,000円 | 4,000~5,000円 | 3,000~4,000円 |
前後左右、計4箇所の交換となった場合、ディーラーだと工賃だけで14,000〜22,000円の出費が発生します。
それに対して、上記の工賃の安いお店に依頼すると、整備工場で8,000〜10,000円、カー用品店で6,000〜8,000円の工賃で済みます。
このように、最大で14,000円も費用を抑えることが可能です。
先述の方法で浮いた6,000円+.工賃を安く抑えた分の14,000円を足すと、
6,000 + 14,000=20,000となり、最大で20,000円も費用を抑えられます。
車種やメーカーによる車の構造の違いで、工賃がかなり高くなる場合もあります。そういった場合でも効果的な方法なので、ぜひ活用してみてください。
交換はプロに依頼するのがおすすめ
車の整備や修理は自分で行ったほうが安く、ついでに自分の車の状態も確認できるなど、さまざまなメリットがあります。
しかし、交換作業に手間がかかったり、作業に必要な工具を持っていなかった場合は1から工具を揃えなければならず、その分費用もかかります。
車を構成する部品の中で、不具合が起きると保安基準に適用しなくなる部品を「保安部品」といいます。
中でも「走る・止まる・曲がる」に関わる部品は「重要保安部品」と呼ばれます。
法律上では、自分の車両の場合は自分で交換しても良いですが、他人の車の場合、整備士資格を持っていないと違法となります。
ブレーキパッドの交換自体はそれほど難しい作業ではありませんが、ジャッキアップして車体をあげた状態での作業が必須なため、危険も伴います。
それに加えて、ブレーキパッドは運転の安全を確保するのに直接関わってくるパーツです。万が一取付けに不備があった場合は大きな事故のきっかけになります。
上記のような事態を防ぐためにも、交換はプロに依頼しましょう。
ブレーキパッドの交換が必要か確認する方法3選
次に、ブレーキパッドの交換が必要かどうか確認する方法について解説していきます。
ブレーキパッドは、ブレーキの制動力を大きく左右する重要なパーツです。
ブレーキパッドの不具合で、ブレーキが上手く機能せず、大きな事故につながる恐れもあります。
なので、ブレーキパッドの状態を確認する方法を、是非知っておきましょう。
ブレーキパッドの状態は、以下の3つの方法を実践することで簡単に確認できます。
- 点検整備記録簿を確認する
- 走行距離を確認する
- ブレーキオイルのかさを見る
この3つの方法で簡単にブレーキパッドの残量を確認できます。
それでは順番に解説していきます。
点検整備記録簿を確認する
1つ目の方法は、「点検整備記録簿」の点検記録を確認する方法です。メンテナンスノートとも呼ばれます。
この方法が一番手間がかからず、早く確認できるのでおすすめです。
点検整備記録簿は車検証と一緒にダッシュボードに保管されていることがほとんどなので、まずチェックしてみましょう。
ただ、記録簿に書いている情報は前回の点検時点のものなので、注意が必要です。
点検から時間が経っている場合は、後述の「走行距離を確認する方法」と組み合わせて、残量を確認しましょう。
走行距離を確認する
2つ目の方法は車のメーターを見て走行距離を確認する方法です。
ブレーキパッドは走行距離10,000kmで約1mm減ると言われています。
ブレーキパッドは残り3mmでの交換が適切とされています。
なので、新品の状態で10mmのブレーキパッドを使用していた場合、大体60,000〜70,000km走行で交換するのが適切です。
もし直近で交換した覚えがなく、上記の走行距離を超えていた場合、できるだけ早くに交換することをおすすめします。
ブレーキオイルのかさを見る
※赤丸で囲われている部分がリザーバータンクです。
3つ目の方法はブレーキオイルのかさを見て、ブレーキパッドの残量を確認する方法です。
ブレーキオイルが入っている「リザーバタンク」に上限のMAXと下限のMINという表記があります。
※赤丸で囲った部分にMAX、青丸で囲った部分にMINの表記があります。
この表記はブレーキオイルの量を表しているのではなく、ブレーキパッドの残量を表しています。
パッドの摩擦材がすり減って、その分ブレーキピストンがオイルによって押し出される結果、かさが低くなります。
もしブレーキオイルのかさがMINまで、あるいは近くまで下がっていたら、交換時期が来ているので、早くに交換することをおすすめします。
ブレーキパッドを変えたら慣らし走行をしよう
ブレーキパッドの交換後に一点だけ注意点があります。
それは「慣らし走行」です。
新品のブレーキパッドは表面の汚れや、均一にブレーキディスクに当たらないことにより、本来の性能は発揮できません。
そのため、交換直後はブレーキの効きを甘く感じることもありますが、距離とともにブレーキパッドは本来の効力を発揮します。
この本来の効力を発揮させるまでの走行が「慣らし走行」です。
ルールや距離に厳密な決まりはありませんが、交換直後は急ブレーキを控え、優しく、丁寧なブレーキ操作を心がければ良いです。
パッドの材質にはよりますが、100km以上の慣らしは不要なので、自分でキリの良い距離を決めて走行してください。
「交換直後の効きは、弱い場合もある」とうことを念頭に、丁寧な運転をしてみてください。
乱暴な運転・急ブレーキはパッドの減りが早くなる
もちろんですが、ブレーキを踏む頻度が高いとブレーキパッドの消耗も早くなります。
特に、乱暴な運転や、急ブレーキが普段の運転でも多いと上記で紹介した目安よりも減りが早いです。
例えば、必要以上に車間距離を詰めてブレーキを多用したり、黄色信号で急いだ結果渡れず、急ブレーキをするなどでもブレーキパッドの減りは早くなります。
ブレーキパッドの減りを遅らせて、交換頻度を低くするためにも、普段から安全運転を心掛けましょう。
周りの運転にも配慮して、ブレーキにも優しくすることが肝心です。
まとめ
最後に、内容をおさらいします。
ブレーキパッドの残量は車検に関係ないです。ブレーキが利けば車検に通ります。
ただ、安全に密接に関わる部品なので、適切な頻度で交換するようにしましょう。
前回交換から50,000m〜70,000km走行もしくは、パッド残量が3mmi以下での交換が適切です。
ブレーキパッドの交換費用は11,000円〜が目安です。
部品代は6,000円〜、工賃は5,000円〜が相場です。ただ、パーツ代も工賃も車種やパーツの質、交換を依頼する店によってバラバラなので注意しましょう。
交換費用を安く抑えるには、社外品を使った持ち込み交換と、工賃の安いカー用品店や整備工場に交換を依頼するのがおすすめです。
自分で交換するのは手間や危険が伴うのに加え、安全に直接かかわるブレーキを整備するのは、リスクを伴います。
交換はプロに依頼して、確実に整備してもらいましょう。
ブレーキパッドの点検方法は主に3つあります。
1つ目は、点検整備記録簿に記載のある、ブレーキパッドの残量を確認する方法です。
2つ目は、走行距離を確認する方法です。前回交換時から60,000〜70,000km、あるいはそれ以上走行していれば、早めに交換するのをおすすめします。
3つ目はブレーキオイルのかさを確認する方法です。
ブレーキオイルのかさはブレーキパッドの残量を表しているので、かさが、下限のMIN近くまで減っていれば、早めにブレーキパッドを交換したほうが良いでしょう。
乱暴な運転でブレーキを多用したり、普段から急ブレーキが多いとブレーキパッドの減りが早くなります。
パッドの交換頻度を低くするためにも、安全運転を心掛け、優しくブレーキを使用するようにしましょう。
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