飛行機内でもワイヤレスイヤホンは基本的に使用可能ですが、すべてのタイミングや航空会社で自由に使えるわけではありません。
離着陸時の制限やBluetooth接続に関する注意点があります。この記事では、機内で快適かつ安全にワイヤレスイヤホンを使うためのポイントとNG行為を解説します。
飛行機でワイヤレスイヤホンは使えるのか

国内線と国際線での使用可否
現在、多くの航空会社では、機内モードに設定した状態でのBluetooth機器の使用が許可されています。
特に、国内線では、機内モード中のBluetooth接続が常時使用可能とされています。国際線でも同様に、機内モード中のBluetooth接続が許可されている場合が多いですが、航空会社や機材によって異なるため、事前に確認することが重要です。
航空会社ごとの対応状況
航空会社や使用機材によって、Bluetooth機器の使用可否が異なる場合があります。例えば、JALでは、A350-1000型機において、機内エンターテインメントシステムとBluetoothヘッドホンの接続が可能です。
一方で、特定の機材ではBluetooth機器の使用が制限されることがあります。ANAでは、B787-8/-9、B777-200/-300、B767-300(Wi-Fi装着機)、B737-700/-800、A320、Q400以外の機材ではBluetooth機器の使用が制限される場合があります。
また、国際線では、機材の種類によってBluetooth製品の使用が制限されている場合があります。搭乗前に航空会社の公式情報を確認することをおすすめします。
使用が制限されるタイミングと理由
ワイヤレスイヤホンの使用は、飛行機の運航中でも一部のタイミングで制限されることがあります。具体的には、離陸前のドアが閉まった時から、着陸後の滑走が終了するまでの間、通信用の電波を発信する状態の電子機器の使用が制限されます。
そのため、Bluetooth機器も一時的に使用が制限される場合があります。また、着陸前にシートベルト着用サインが再度点灯し、電子機器に対する制限がかかるタイミングでも、ワイヤレスイヤホンの使用を控えるようアナウンスされることがあります。
これらの制限は、航空機の安全運航を確保するための措置であり、乗務員の指示に従うことが求められます。
ワイヤレスイヤホンの機内持ち込みルール
機内持ち込みが推奨される理由
ワイヤレスイヤホンやその充電ケースに使用されているリチウムイオン電池は、エネルギー密度が高く、過充電・衝撃・高温などの条件下で発火や爆発のリスクがあることで知られています。実際に、過去にはリチウム電池が原因の発煙・発火事故が航空機内や貨物室で報告されたこともあり、国際航空運送協会や各国の航空当局はその取り扱いに厳しいガイドラインを定めています。
これを受けて、多くの航空会社では、リチウム電池を含む電子機器を預け入れ荷物ではなく機内持ち込み手荷物として管理することを強く推奨しています。これは、貨物室では異常が発生してもすぐに対応できないのに対し、機内であれば乗務員が異変を確認し、速やかに消火や隔離などの安全措置を講じることができるためです。
さらに、ワイヤレスイヤホンは小型で紛失しやすく、預け入れ荷物の中で破損や誤作動を引き起こすリスクもあります。機内での安全と、自身のデバイス保護の両面から、機内持ち込みがより安全で合理的な選択とされています。
預け入れ荷物に入れてしまった場合の対処法
誤ってワイヤレスイヤホンや充電ケースを預け入れ荷物に入れてしまった場合、以下の対処法があります。
搭乗手続き前に気づいた場合: 速やかに航空会社のチェックインカウンターで申告し、手荷物として引き取る
搭乗手続き後に気づいた場合: 到着地で航空会社の「手荷物受取サービスカウンター」に相談し、荷物の状況を確認
特に、充電ケースを含むBluetoothイヤホンはリチウムイオンバッテリーを内蔵しているため、預け荷物としての扱いが制限されるケースがあります。
充電ケースの取り扱い注意点
ワイヤレスイヤホンの充電ケースもリチウムイオン電池を内蔵しているため、取り扱いには注意が必要です。
多くの航空会社では、これらのデバイスを預け入れ荷物ではなく、機内持ち込み手荷物として持参することを推奨しています。また、充電ケースのバッテリー容量が160Wh以下であることを確認し、端子部分を絶縁するなどの短絡防止措置を施すことが求められます。
機内でのワイヤレスイヤホンの接続方法

機内モードとBluetoothの設定手順
飛行機内でワイヤレスイヤホンを使用する際は、スマートフォンやタブレットを「機内モード」に設定し、その後Bluetoothを個別にオンにする必要があります。
iPhoneの場合
・設定アプリを開き、「機内モード」をオンにする
・Bluetoothをタップし、Bluetoothをオンにする
・ワイヤレスイヤホンをペアリングモードにし接続する
iOS 12以降では、機内モード中でもBluetoothを個別にオンにすることが可能です。
Androidの場合
・設定アプリを開き、「ネットワークとインターネット」をタップする
・機内モードをオンにする
・Bluetoothをオンにし、ワイヤレスイヤホンを接続する
機内エンターテインメントとの接続方法
機内エンターテインメントシステムは通常、有線接続を前提としており、ワイヤレスイヤホンを直接接続することはできません。しかし、以下の方法でワイヤレスイヤホンを使用することが可能です。
トランスミッターを使用する方法
Bluetoothトランスミッターを機内エンターテインメントシステムの3.5mmヘッドフォンジャックに接続し、ワイヤレスイヤホンとペアリングすることで、音声をワイヤレスで受信できます。
例えば、エレコムの「LBT-ATR01BK」などの製品があり、デュアルジャックにも対応しています。
変換アダプターの利用方法
一部の航空機では、デュアルジャックと呼ばれる特殊な形状のヘッドフォンジャックが使用されています。
この場合、一般的な3.5mmステレオプラグを接続するためには、変換アダプターが必要です。変換アダプターを使用することで、Bluetoothトランスミッターや有線イヤホンを接続することが可能になります。
ワイヤレスイヤホン使用時の注意点とマナー
音漏れ防止と周囲への配慮
飛行機は限られた空間で多くの乗客が過ごすため、ワイヤレスイヤホン使用時には音漏れに特に注意が必要です。音量が大きすぎると、自分では気づかなくても隣席の人に不快な思いをさせてしまう可能性があります。
・周囲の環境音に負けて音量を上げすぎない
・ノイズキャンセリング機能があるイヤホンでも、外音取り込み機能を活用し安全に使う
・静かな時間帯(夜間便など)は特に配慮を
音漏れはマナー違反とされ、乗務員から注意されるケースもあります。周囲の迷惑にならないよう、音量を控えめにするのが基本です。
長時間使用による耳への負担
長時間のフライトでイヤホンを使い続けると、耳に大きな負担がかかります。特に以下の点に注意しましょう。
・圧迫感の少ない「開放型」や「骨伝導タイプ」を選ぶと快適
・1〜2時間ごとに耳を休める(イヤホンを外す)
・乾燥しやすい機内では、イヤーチップの衛生状態や肌トラブルにも注意する
長時間の使用は外耳炎や耳の疲れの原因になることもあるため、適度な休憩が大切です。
使用禁止の指示があった場合の対応
離着陸時や機内アナウンスの際など、一部の時間帯ではすべての電子機器の使用が制限される場合があります。その際、以下のように対応しましょう。
たとえBluetoothが機内で使える便であっても、乗務員が安全上の判断で使用を控えるよう案内した場合には必ず従うことが大切です。安全を優先し、協力的な姿勢を取りましょう。
飛行機内でのおすすめワイヤレスイヤホン
ノイズキャンセリング機能付きイヤホンの利点
飛行機内はエンジン音や空調音など、常に低音域の雑音(環境ノイズ)があります。ノイズキャンセリング(ANC)機能付きイヤホンを使えば、これらの音を打ち消すことができ、小さな音量でも快適に音楽や映画を楽しめるのが大きな利点です。
主なメリット:
・音量を上げすぎなくてよいため耳に優しい
・周囲の雑音を軽減して集中できる
・睡眠時にも安眠サポートとして有効
ノイズキャンセリング機能が優れている製品例としては、Sony WF-1000XM5やBose QuietComfort Earbuds IIなどが挙げられます。
長時間フライトに適したモデルの選び方
長時間のフライトでは、「装着感」「バッテリー持ち」「耳への負担」に注目しましょう。
また、カナル型が苦手な人には開放型や骨伝導タイプもおすすめです。
コストパフォーマンスに優れた製品紹介
高機能かつ価格を抑えたモデルも近年増えてきており、以下のようなモデルが機内使用に適しています。
製品名 | 価格帯 |
---|---|
Anker Soundcore Liberty 4 NC | 約12,000円〜 |
EarFun Air Pro 3 | 約8,000円〜 |
SoundPEATS Capsule3 Pro | 約7,000円〜 |
コスパ重視ならAnkerやEarFun製品は機内でも使いやすく、初心者にもおすすめです。
まとめ
ワイヤレスイヤホンやその充電ケースにはリチウムイオン電池が使われており、発火のリスクがあるため、航空会社では機内持ち込みが推奨されています。
手荷物として持ち込むことで、万が一のトラブル時に迅速な対応が可能になり、安全性が高まります。誤って預け入れ荷物に入れてしまった場合は、搭乗前ならカウンターで申告して取り出せますが、搭乗後は手荷物受取サービスで対応を相談するのがベストです。
充電ケースも同様に注意が必要で、バッテリー容量が160Wh以下であることや、端子部分の絶縁などの対策も大切です。機内での安全のためにも、ワイヤレスイヤホン類は必ず手元に持って搭乗しましょう。