ワイヤレスイヤホンがうっかり水に濡れてしまった…そんなとき、焦らずに正しく対処することが復活のカギです。
この記事では、水没直後にすべき対応から、自宅でできる修理方法までをわかりやすく解説します。大切なイヤホンを守るために、ぜひ参考にしてください。
水没後のワイヤレスイヤホンの対処法
ワイヤレスイヤホンが水没してしまった場合、焦って電源を入れたり充電したりするのはNGです。以下のステップで適切に対処することで、故障を防げる可能性があります。

水没直後の対応と注意点
・すぐに使用をやめる
濡れたまま使うと内部がショートして故障する原因になります。
・ケースから取り出してチェック
イヤホンだけでなく、充電ケースも濡れていないか確認し、一緒に乾かしましょう。
・表面の水分をやさしく拭き取る
乾いた柔らかい布(マイクロファイバーなど)で、イヤホン全体を丁寧に拭きます。
絶対にやってはいけないこと
●ドライヤーの温風を直接当てる
●乾く前に充電やペアリングを試す
●強く振る
熱でパーツが壊れる恐れがあるため、直接温風を当ててはいけません。
また、強く振ってしまうと水が奥に入り込む可能性があるので注意してください。
自宅でのワイヤレスイヤホンの修理方法
水没の程度によっては、自宅で応急処置をすることで復活することがあります。ただし、あくまで自己責任で行いましょう。
分解しての部品乾燥の手順
①イヤホンを分解(できる範囲で)
無理に開けず、フィット感を調整するイヤーチップやカバーなど、外せる部分だけを外します。
②シリカゲルや乾燥剤と一緒に密閉容器へ
ジップロックなどにシリカゲルと一緒に入れて、12〜48時間程度放置します。
→ 米に入れる方法もありますが、異物混入のリスクがあるため乾燥剤の方がおすすめです。
③完全に乾燥した後で、電源を入れて動作確認
数日おいても復旧しない場合は、メーカー修理を検討しましょう。
音質回復のための工夫
水没後に音質が劣化するケースがあります。以下の点をチェックしましょう。
・スピーカー穴やマイク穴に水分が残っていないか
水がこもると、こもった音やノイズの原因になります。綿棒やエアダスターで優しくケアを。
・通気性の良い場所でしっかり自然乾燥させる
乾いたように見えても内部に湿気が残っていることがあります。24時間以上は乾燥を。
・アプリでのファームウェア再インストール
一部のイヤホンは専用アプリから初期化・再設定することで音質が戻ることがあります。
水没後はすぐに乾燥させることが重要ですが、見た目で異常がなくても、内部にじわじわダメージが広がっている場合があります。少しでも異変を感じたら、早めにメーカーに相談することをおすすめします。
ワイヤレスイヤホンの水没で影響を受ける部分
ワイヤレスイヤホンは精密機器のため、わずかな水分でも不具合を引き起こすことがあります。水没の程度や使用状況により、以下のような影響が現れることがあります。
音質や接続性に与える影響の解説
ワイヤレスイヤホンが水没した場合、音質や接続性に深刻な影響を与えることがあります。水分が内部に入り込むことで、以下のような問題が発生することがあります。
音質の劣化
スピーカーユニットは音の発生源であり、振動板や音導管を使って音を出しています。水分がこれらの部品に入り込むと、振動板が正常に動作しなくなり、音がこもったり割れたりすることがあります。
特に低音域や中高音域が特に影響を受けやすく、音質が不明瞭になり、音楽の再生や通話時に違和感を感じることが多くなります。
水分が振動板や音導管に残ったままの場合、音の伝わり方が不均一になり、音量にバランスの不具合が生じます。その結果、片方のイヤホンが小さく聞こえる、または音が途切れたように感じる場合があります。
水分が乾いた後でも、イヤホン内部に残った汚れや腐食が音質に影響を及ぼすことがあります。これにより、ノイズや音割れが発生したり、音質が劣化したりします。特に長期的な使用においては、この影響が蓄積され、耳障りな音が頻繁に発生することが多くなります。
Bluetooth接続の不安定化
ワイヤレスイヤホンのBluetooth接続において、Bluetoothアンテナは電波の送受信を担当しています。水分がこの部分に浸透すると、電波が通りにくくなり、接続が不安定になります。
この結果として、ペアリングが失敗したり、接続が突然切断されたりするケースが増えることがあります。
Bluetooth接続が不安定になると、音楽の再生が途切れたり、通話時に音声が途切れて聞こえにくくなるなどの問題が生じます。特に安定した接続が重要な通話や音楽鑑賞中に、この問題が発生すると、イヤホンの使用に大きな支障をきたします。
マイク機能の低下
ワイヤレスイヤホンのマイク部分は、通話や音声認識に使用される重要な部位です。水分がこの部分に浸透すると、マイクの性能が低下し、音声の拾い方が悪くなります。
通話中に相手に声が届きづらくなったり、音がこもって聞こえるなどの問題が発生することがあります。
マイク部分に水分が残ると、音声の歪みやこもりが生じやすく、相手に自分の声が伝わりにくくなる場合があります。特に通話の品質が重要な場合に、これが大きな不便となります。
水没によるバッテリー寿命の変化
水没によってワイヤレスイヤホンのバッテリーに与える影響は深刻です。リチウムイオン電池は水分に対して非常に敏感で、内部に水分が浸入すると、バッテリーの寿命やパフォーマンスに大きな影響を与えます。以下のような問題が発生することがあります。
バッテリー性能の低下
リチウムイオン電池はワイヤレスイヤホンに使用されているバッテリーですが、水分に弱いです。
このタイプのバッテリーは、内部の電極や回路が水分にさらされることで腐食し、充電効率が悪化します。
これにより、満充電しても使用時間が短くなる、バッテリーがすぐに切れるといった症状が見られやすくなります。水分がバッテリーに浸透すると、電池が正常に動作しなくなり、充電後も十分な電力を供給できなくなる可能性があります。
急な電源オフ・動作不良
水分がバッテリーユニット内に入り込むと、電池内部でショートを引き起こすことがあります。これが原因で、内部の安全装置が作動し、イヤホンが突然電源オフになります。
電源が切れる原因としては、内部の回路が水分によってショートするためです。この時、電源が急に落ちるだけでなく、再び電源が入らなくなることもあります。
長期的なトラブル
水没後すぐは問題なく動作していても、数日後や数週間後に長期的なトラブルが発生することがあります。内部で腐食が進行したり、バッテリーが膨張することがあります。
特に、バッテリー膨張や起動不能の問題は時間が経過することで発生することが多いです。これらのトラブルは、最初は外観に異常がなくても、バッテリー内部の腐食や損傷によって引き起こされます。
保証や保証対応について
ワイヤレスイヤホンが水没した場合、「保証で修理できるのか?」は多くの方が気になるポイントです。
しかし、水没は多くのメーカーで保証対象外となっているケースが一般的です。とはいえ、製品やメーカーによって対応は異なるため、詳細をチェックしておくことが大切です。
メーカーの保証内容と注意点
ワイヤレスイヤホンの保証内容については、通常、自然故障に対する保証が主となり、水没や落下などユーザーの過失による故障は対象外となる場合が多いです。以下に詳しく説明します。
多くのメーカーは“自然故障”のみ保証対象
メーカーの通常保証(1年程度)は、製品に欠陥があった場合に対応するものです。これには、製造過程での不具合や部品の不良が該当します。
自然故障とは、製品に内蔵されている部品の不具合など、ユーザーが操作したことによる影響がない場合です。
一方で、水没や落下など、ユーザーの過失による故障は、ほとんどのケースで保証対象外となります。これにより、ワイヤレスイヤホンが水に浸かった場合や、物理的な衝撃で壊れた場合には保証を受けることができません。
防水モデルでも水没保証はされないことがある
多くのワイヤレスイヤホンは防水性能(IPX5、IPX7など)を持っていますが、これは生活防水に過ぎないことがほとんどです。
防水等級(IPX5〜7)に対応していても、これらはあくまで日常的な水滴や汗からの保護を目的としたものであり、水没や洗濯機での使用、プールなどでの長時間の水中使用には耐えられません。
そのため、防水仕様であっても、水没が原因の故障は保証対象外とされる可能性が高いです。
保証を受ける前にやるべきこと
万が一、保証を利用する必要が出た場合、保証をスムーズに受けるためには、以下の準備が重要です。
購入時のレシートや保証書の保管:製品購入時に渡される保証書やレシートを必ず保管しておきましょう。これらがないと、保証を受けられない場合があります。
専用アプリでの製品登録:一部のメーカーでは、専用アプリで製品登録を行うと、保証の登録情報が確認でき、修理や交換の対応がスムーズに進むことがあります。
メーカーに問い合わせる際の準備:不具合が発生した際、メーカーに問い合わせる前に、製品の状態や購入日、問題の内容を詳細に整理しておくと、対応が早くなります。
保証外の水没修理の実際の費用や対応
ワイヤレスイヤホンが水没して保証対象外となった場合、修理や交換に関する対応や費用については以下のようになります。
メーカーによる有償修理
水没によって保証対象外となった場合、メーカーでの修理は有償で行われます。修理費用は水没の程度や製品の状態によって異なりますが、一般的には数千円〜1万円程度の費用がかかることがあります。
修理の対応内容:水没の影響を受けた部品を交換したり、内部の清掃を行ったりする場合が多いですが、場合によっては修理が不可能とされ、新品との交換対応となることもあります。
新品交換の可能性:修理よりも新品との交換対応を選ぶこともあり、その場合は製品の状態や購入状況によって費用が異なることがあります。新品交換の場合、修理費用に加えて新品との差額を支払うこともあります。
正規サービスを受けられない場合の選択肢
並行輸入品や正規代理店を通さない製品:通販や並行輸入で購入したワイヤレスイヤホンは、正規のサービスを受けられない場合があります。この場合、メーカー保証外となり、修理サービスを受けるためには別の手段を講じる必要があります。
サードパーティの修理業者:正規代理店を通して修理ができない場合、サードパーティ(非正規)の修理業者を利用する選択肢もあります。サードパーティの業者に依頼することで、通常よりも安価で修理を受けられることがある反面、品質や保証面に不安が残ることもあります。
AppleやSONYなどの例
Apple(AirPods):AppleのAirPodsでは、AppleCare+に加入している場合、水没でも修理を受けることができます。ただし、これには有償修理となり、片耳交換などが提供されることがあります。AppleCare+は、製品購入時に追加で契約する保険プランで、保証対象外のトラブルにも対応する場合があります。
SONY:SONYのワイヤレスイヤホンでは、水没は基本的に保証対象外となりますが、状態によっては見積もり→修理対応を受けられることがあります。SONYでは、修理内容や費用の見積もりを提示し、修理に進むか新品に交換するかを選ぶことができる場合があります。
メーカー保証を超えたオプション
水没は基本的にメーカー保証の対象外ですが、多くのメーカーでは有償修理や新品交換のオプションを提供しています。また、製品購入時に延長保証やメーカーの保険プランに加入することで、水没などの事故に備えることができます。
延長保証:通常の1年保証を延長し、トラブルに備えられるプラン。水没を含む不具合に対応している場合もあります。
保険プラン:一部のメーカーでは、製品に対する保険プランを提供しており、事故による破損や水没に対応しています。
ワイヤレスイヤホンの水没事故を防ぐ方法
ワイヤレスイヤホンは日常使いに便利ですが、「雨」「汗」「水場の使用」などで思わぬ水没リスクがあります。ここでは、事前にできる対策や、イヤホン選びのポイントを紹介します。
防水性能を考慮したワイヤレスイヤホンの選び方
防水等級(IPX)をチェック
ワイヤレスイヤホンにはIPX等級が表示されており、これは防水性能の目安となります。IPX等級は「IP」に続く数字で示され、次のようなレベルがあります。
等級の目安 | 防水レベル |
---|---|
IPX4 | 汗や小雨に耐えられるレベル |
IPX5・6 | 水しぶきやシャワーにもある程度対応 |
IPX7 | 一時的な水没にも耐えるレベル |
使用シーンに合わせて選ぶ
使用シーンによって最適な防水等級は異なります。自分の使用環境に合わせた防水等級を選びましょう。
通勤・通学:日常的な使用にはIPX4〜5のイヤホンが十分です。これで軽い雨や汗から保護されます。
ランニングやワークアウト:運動中にかかる汗や水しぶきに対応できるIPX5〜6の防水等級がおすすめです。シャワーを浴びる際にも安心です。
プールサイドやお風呂場:IPX7以上の防水等級を選ぶと、イヤホンが水没しても壊れることなく使用できます。特にプールサイドやお風呂場など、水場での使用を考えるなら、IPX7以上が理想的です。
等級の目安 | 防水レベル |
---|---|
IPX4〜5 | 通勤・通学 |
IPX5〜6 | ランニングやワークアウト |
IPX7以上 | プールサイドやお風呂場 |
ケースの防水性も重要
イヤホン本体が防水であっても、充電ケースの防水性は確認しておく必要があります。
充電ケースは、イヤホンが水に浸かったり濡れることが多い環境では、防水性能が低い場合が多いです。ケースが濡れると、充電不良や内部の電子機器へのダメージが生じる可能性があります。
ケースの防水対策
水場で使用する際、充電ケースをジップ付きの袋や専用の防水ケースに入れて持ち運ぶと安心です。
ケースが濡れた場合は、充電前にしっかり乾燥させることが大切です。
水に強いワイヤレスイヤホンの比較とランキング
製品名 | 防水等級 | 特徴 |
---|---|---|
Sony WF-SP800N | IP55 | ノイズキャンセリング搭載、スポーツ向き、安定した音質 |
Jabra Elite 7 Active | IP57 | 高い防水防塵、フィット感抜群、ジムやランに最適 |
Shokz OpenRun | IP67 | 骨伝導+超防水、ランナーやアウトドア派に人気 |
Anker Soundcore Sport X10 | IPX7 | 手頃な価格で水没にも強く、回転式イヤーフック付き |
Apple AirPods Pro | IPX4 | 軽い防水性能、日常使い+Appleユーザー向け |
ワイヤレスイヤホンの水没事故は、防水性能を意識した製品選びと日常のちょっとした気配りで大きく減らすことができます。自分の使い方に合った防水グレードを確認して、長く快適に使えるイヤホンを選びましょう。
プールや海で使用する際の注意点
ワイヤレスイヤホンの中には防水性能が高いモデルもありますが、プールや海での使用はリスクが非常に高いため、注意が必要です。
ただの水ではなく、塩分や塩素を含んだ水による腐食や劣化が発生するため、日常の汗や雨と比べてダメージが深刻になることがあります。
防水性能と防水等級の理解
ワイヤレスイヤホンに記載されている「IPX等級」は、防水性能の目安です。これは「IEC(国際電気標準会議)」によって定められた規格で、0〜8の数字で防水レベルが表されます。
等級 | 内容 |
---|---|
IPX4 | 軽い雨や汗程度の水しぶき |
IPX5 | シャワー程度の噴流水 |
IPX6 | 強い雨や濡れた手での操作 |
IPX7 | 一時的な水没(最大30分間) |
IPX8 | 継続的な水没 |
IPX7以上でない限り、完全な水没には対応していません。
海水やプールの水は塩素・塩分を含むため、防水仕様でも劣化の原因になってしまうことも。
「防水」=「水中使用可」ではないことを理解しましょう。
プールでの使用時のケアと保護方法
海水や塩素水の使用は基本NG
海水やプールの水は腐食性があり、イヤホン内部の金属部品やバッテリーを傷める可能性があります。
防水対応モデルでも、公式に「プールや海での使用OK」とされていない限り使用は控えましょう。
完全防水モデルでも必ずケアを
使用後は真水で軽くすすぎ、水分を拭き取ってから陰干ししましょう。
ケースには水分を絶対に持ち込まないよう、濡れたまま収納しないことが重要です。
保護アイテムを活用する
水辺での使用時には、防水ポーチやイヤホン専用の水中ケースがあると安心。
特に骨伝導型イヤホンは、水中使用に特化しているものもありおすすめです。
落下防止対策も忘れずに
プールや海では耳からの脱落リスクが高いため、落下防止ストラップやフィン付きイヤーチップの併用を検討しましょう。
いくら高い防水性能を持ったイヤホンでも、プールや海での使用は基本的にリスクが高く、推奨されていません。
どうしても使用したい場合は、防水性能に加えて保護アクセサリーや使用後のケアを徹底することが重要です。できれば、水泳用に設計された専用モデルの使用を検討するのがもっとも安全です。
まとめ
ワイヤレスイヤホンが水没した場合は、まずすぐに使用を中止し、電源を入れないようにします。イヤホンと充電ケースの両方を取り出し、水に濡れていないかを確認したうえで乾燥させましょう。
表面の水分は、柔らかく乾いた布でやさしく拭き取ることが大切です。乾かす際に、ドライヤーの温風を直接当てたり、充電・ペアリングを急いだりするのは故障の原因になるため避けましょう。
また、イヤホンを強く振ると内部に水が入り込む可能性があるので控えてください。